展示会内容
まつげの長いどこか物憂げな瞳の少女や少年。ロマンチックでメランコリック・・・。
その独自の耽美的作風、ペンによって描写された人物などが特徴的で、和田誠、横尾忠則らとともに日本を代表するイラストレーターである宇野亜喜良。デザイン、イラストレーション界の草分け的存在であり、昭和期の日本を代表する挿絵画家・グラフィックデザイナーの一人といわれる彼の上品で格調高い西洋バロックの世界は、今もなお、ますます洗練され進化し続けています。
ロゴスギャラリーでは、「グリム童話集」に素材をとった舞台「Tingel GRIMM ティンゲルグリム〜眠れぬ森のおどけ奇譚〜」(美術/宇野亜喜良、10月上演予定)と連動し、森をイメージした作品や商品群を集めた宇野亜喜良/AQUIRAX展を開催します。「ティンゲルグリム」の舞台とシンクロする、宇野亜喜良の甘美で幻想的な世界をご堪能ください。
2007年10月、宇野亜喜良のアートステージ企画に賛同して集まった串田和美(俳優・演出家)や、多彩なアーティストがグリム童話を元に既成の概念を打ち破った劇空間に挑戦する。200篇に及ぶグリム童話、その中から俳優、音楽家とのコラボにより物語を紡いで行く。
踊る絵画・・・おしゃべり音楽・・・迷子の劇・・・サーカス小屋の少女の夢・・・
この演劇の舞台となるのが「グリムの森」。宇野亜喜良/AQUIRAX展では、グリム的なカオスの「森」から宇野亜喜良が採り出した舞台のイメージスケッチを展示します。加え、森のイメージによる新旧の原画や作品で構成します。また、グリムの森の事件をライブペインティングで表現する試みも企画しています。森の深さと遥かなる拡がりを感じさせ、自由自在に変化する宇野亜喜良のタッチをライブでもお楽しみいただけます。
他にこの展示会では、宇野亜喜良の活動も紹介します。昨年、舞台制作・書籍制作で親交を深めたアートンとともに、自らの世界を日常のマテリアルに落とし込む、“リビングアート”という新しい試みであるブランド「AQUIRAX」をスタート。その「AQUIRAX」の商品や、コースターや壁画を手がけるカフェ&バーの風景など、近年の宇野亜喜良の幅広い活動をうかがい知ることができます。宇野亜喜良の森から飛び出してくる覗きからくりの世界にご期待ください。
<展示&販売内容(予定)>
・ 舞台「ティンゲルグリム」描きおろしイラスト
・ 舞台「ティンゲルグリム」のイメージスケッチ
・ 森をイメージしたイラストレーション作品原画
・ 森をイメージしたライブペインティング(限定販売)
・ 森から飛び出した指人形オブジェ(展示及び限定販売)
・ 「グリム」オリジナルポストカード、ポスター、チケットの販売
・ 某誌特集企画の宇野亜喜良ディレクション写真、
イメージスケッチ(展示、限定販売)
・ 造形作品「本の妖精」などの展示販売
・ 宇野亜喜良のブランド「AQUIRAX」の商品
(カップ&ソーサー、プレート、トートバッグなど)
・ 「エスカルゴの夜明け」「壜の中の鳥」「美女と野獣」
「踊りたいけど踊れない」など既刊絵本 |
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「Tingel GRIMM ティングルグリム〜眠れぬ森のおどけ奇譚〜」
illustration Aquira UNO
演出:串田和美/美術:宇野亜喜良
東京公演:10/4→10/14 松本公演:10/19→10/22
東京:にしすがも創造舎 特設劇場
松本:まつもと市民芸術館 小ホール
◇主な出演者◇
串田和美・高泉淳子・市川実和子・あさひ7オユキ
大熊ワタル(クラリネット奏者)・関根真理(パーカッション)他
主催は、宇野亜喜良の絵本出版や、映画製作、舞台製作にも力を入れている出版社アートンとまつもと市民芸術劇館が共同で手がけます。企業と地方自治体が組むという、アートシーンにとっても異色で画期的な企画です。
公演場所も敢えて自由に空間を活かせる所を選びました。
西巣鴨(都営三田線)駅前の廃校となった中学校体育館、校庭からのアプローチ、教室からは懐かしい歌声が聞こえてくるようで‥枠組みを超えた舞台創りが既に始まっています。
題材に選んだのは、多くの人々が幼い頃からなじみのあるグリム童話。既存の台本を表現していく方法は選びません。
グリム童話からピックアップする物語は、串田和美、宇野亜喜良を中心にこのプロジェクトに関わった皆で紡いでいきます。モノを創る原点にたち返って舞台表現と向き合っていきます。
本企画は、一流のアーティストによる感動の舞台創りを目指すものです。
◇主なスタッフ◇
【音楽監督】朝比奈尚行 /【照明】 斉藤茂男 /【音響】市来邦比古 /【舞台監督】 村松明彦
【衣装】【宣伝美術】宇野亜喜良 【製作】 郭充良 蔭山陽太
【主催】 株式会社アートン / まつもと市民・芸術館 提携:にしすがも創造舎
・ 前売開始 7/20〜
・ 指定席:6000円 自由席:5500円 当日券:6500円
◇お問い合わせ◇
アートン・グリム事務局
03-6737-1006 www.artone.co.jp/grimm
「グリム童話集」は
1812年、ドイツにて初版発行。その後版を重ね1857年第7版まで。
日本には1887年(明治20年)から入ってきました。はじめは、子どもの読み物として扱われましたが、口承文芸の奥行きに大人たちも共鳴し、さまざまな研究がなされています。民俗学的、文芸学的、イデオロギー的、心理学的と。そんな「グリム童話」の魔法昔話、笑話、伝説や聖者伝など200篇。
アーティスト・宇野亜喜良(AQUIRAX)の世界を、広定義でとらえる“ファッション”やリビングアートを媒体として表現するプロジェクトです。
つまり、その作品世界をもうひとつのマテリアルに置き換えて、思いのままに身につけたり触れたりしたいという発想です。
或る時はコケティッシュに、また或る時はフェティッシュに、或いは無防備に、玩具のように、あらゆるAQUIRAX感覚を楽しみたいということなのです。
このプロジェクトは、「物語性」そして「イメージの飛翔」を喚起させる宇野の特異な世界を共同の創造活動へとつなぐことであり、アートンの出版社としての特質を発揮しながら展開するコレクティブな商品開発です。
<プロフィール>
宇野亜喜良(うの あきら)
1934年名古屋に生まれる。1952年名古屋市立工芸高等学校図案科卒業。カルピス食品工業の広告課を経て、1960年日本デザインセンター設立とともに入社。1964年日本デザインセンター退社。横尾忠則、原田維夫と共にスタジオ・イルフィル設立。翌1965年解散、同年スタジオRe設立、「ペルソナ展」に参加、また、灘本唯人、原田維夫、山口はるみ、山下勇三、横尾忠則、和田誠等と東京イラストレーターズ・クラブを設立。主な受賞に1956年日宣美展特選、1960年日宣美会員賞、1966年東京イラストレーターズ・クラブ賞、1982年講談社出版文化賞挿絵賞、1989年サンリオ美術賞、1992年第6回赤い鳥挿絵賞等。1999年紫綬褒章受章。
主な著作に「海の小娘」(朝日出版社/文・梶祐輔、共著・横尾忠則)、絵本「あのこ」(理論社/文・今江祥智)、「あかるい箱」(江國香織・文)、「ル・シネマ」(マガジンハウス)、「宇野亜喜良の世界」(立風書房)、「LUNATICO」(新書館)、「宇野亜喜良の世界」(立風書房)、「宇野亜喜良マスカレード」(美術出版社)、「宇野亜喜良全エッセイ・薔薇の記憶」(東京書籍、)「踊りたいけど踊れない」「壜の中の鳥』(寺山修司・文)「エスカルゴの夜明け」(アートン/蜂飼耳・文)、「もりでうまれたおんなのこ」(ポプラ社)など多数。
また、舞台『上海異人娼館』『美女と野獣』芸術監督(共にアートン制作)、コクーン歌舞伎『桜姫』(シアターコクーン、松竹、共同制作)の舞台美術、宣伝美術等、イラストレーション以外の世界でも幅広く活躍している。