今ではもう存在しない学問「博物学」の研究家であり、博物画コレクターでもある荒俣宏氏は、長年にわたって我々に博物画の楽しみ方を説いてきました。荒俣氏の著書などを通して博物学に興味を持ち、博物画を実際に目にし、また手に入れる機会を得て、その魅力の虜となってコレクションを始めたという人も少なくないようです。
海外の専門店やオークション、近年ではネットオークションなどで博物画図譜を蒐集してきた荒俣氏ですが、ここ数年間に海外で価格が高騰、また名品といえるものが市場に出てこない等、入手するのはかなり厳しい状況のようです。
本展では、荒俣氏が30年余りのコレクション暦の中でも目にしたことがないという、最近幸運にも入手することができた名品を主にご紹介します。
18世紀フランスの植物画家ルドゥーテと並ぶと評されるプレヴォーの「花果実誌」、グールドの鳥類図鑑の先駆けとなったエドワード・リアの「インコ図譜」、博物画の最高峰といわれるソーントンの「フローラの神殿」と並び称されるブルックショウの「英国果実誌」、フランス博物学航海記の最高傑作と言われる「アストロラブ号世界航海記」のオウム図譜、北米の動植物に関する最初の彩色図鑑と言われるケーツビーの「カロライナの自然誌」、その美しい彩色図鑑が今日インテリアとして人気の高い19世紀前半に活躍したイギリスのドノヴァンの「インド昆虫誌」などです。その他、西洋博物学の黄金時代(18〜19世紀)に刊行された博物図鑑に収められた、鳥類、昆虫、魚類、植物、果実などの小品も含め出品いたします。コレクターから、インテリアとしての一枚をお探しの方まで、お楽しみいただける内容です。
博物画の名品を眺めることによって「目のよろこび、と心のもてなし」を存分に体験する事ができると思います。 |
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ブルックショウ「英国果実誌」 |
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エドワード・リア「インコ図譜」 |
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