展示会内容
なぜ波を撮り続けるのか。
ホンマタカシ、8年間の撮影、新たな写真表現へ。
©Takashi Homma
展覧会や雑誌などで発表し続けている「NEW WAVES」シリーズが初の書籍化! パルコ出版から刊行いたします。
その出版を記念し、都内2つのギャラリーで展覧会を同期間開催いたします。
時代を映し出した作品『東京郊外』で'99年木村伊兵衛写真賞を受賞し日本写真界の新世代を象徴する存在として注目を浴びました。常に厳しく表現を追い求め続けている写真家ホンマタカシの新しい写真表現の世界をご高覧ください。
※同時開催:ギャラリー360° http://www.360.co.jp
ホンマタカシ写真集「NEW WAVES」(パルコ出版)刊行記念展です。
2000年より2007年まで8年間撮りためた波の作品を待望の書籍化します。
写真集に収録される作品より約30点を展示・販売する予定です。
オリジナルプリント販売のほか、2会場のみでの写真集先行販売、ロゴスギャラリー限定プリント付限定版写真集を発売予定です。
©Takashi Homma
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ホンマタカシ写真集『NEW WAVES』(パルコ出版刊)
展覧会場先行販売・会場特典付
*A3変型・128ページ・ソフトカバー 予価 3,800円・税別 6月下旬書店販売予定
*アートディレクション=山本晃士ロバート(ユーフラテス)
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科修士課程修了。
大学生時代に2001年東京 ADC賞受賞、同時に装丁デザインで
原弘賞受賞。 |
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限定写真集販売
*限定70部(予定) 予価 35,000円・税別
(箱入り、サイン入りオリジナルプリント1点、通常版写真集1冊、限定版写真集1冊のセット) |
ハワイ、ノースショアの波。その複雑に干渉しあう動きは巨大なエネルギーをもってたえまなくカメラに向かってくる。一瞬とも同じ状態にはなく、ぶつかりあうことでとまっていたり激しく波打っていたり、その部分部分で起こっている状態は同じ瞬間に多様多発でありながら波というひとつの運動を止まることなく続けている。
「すべてが違うのに同じもの」 ── そんな被写体をホンマタカシは2000年から8年間撮影し、そして今後も撮影し続けるテーマとして取り組んでいる。被写体の選択を極力廃したプロジェクトでもあり、自分に向かってくる変化し続ける環境(波)に対し、ブレッソンに代表されるような決定的瞬間をとらえることを意図せずにただ淡々と撮影し続けたもの。たびたびインタビューなどで「写真とは世界をどう認識しているのかの表明である」と語る写真家ホンマタカシが今回作品集
収録にあたり意図しているのは、1枚の美しさをもとめる絵画的な写真表現ではなく、写真群全体で表す世界と写真家、被写体と写真家の関係性ともいえる。
また90年代から現在まで撮影し続けている「環境」というテーマは、「建築と環境」「都市と環境」「都市と庭」といったシリーズにも貫かれている共通の視点でもある。生態心理学者・佐々木正人氏の「歩いている時のように全体と細部の肌理(きめ)に一挙に包囲されること、それがアートの本質ではないだろうか。」(佐々木正人編『アート/表現する身体』東京大学出版刊より)という言葉を引用すれば、私たちはまさにホンマタカシの作品に向かいあうとき、強い表現力で知覚を刺激され、波全体と波がつくり出す細部の肌理に包囲されるのである。それは言いかえれば、波自身が「環境」のメタファーとなっているともいえる。
作品『NEW WAVES』とは、「写真とは何か?」 そのこたえを常に求めている写真家が新たな写真表現へ挑戦し続けている記録でもある。
<プロフィール>
ホンマタカシ Takashi Homma
1962年東京生まれ。1999年『東京郊外』(写真集、展覧会)で第24回木村伊兵衛写真賞受賞。主な作品集に『Tokyo and my daughter』(スイス:Nieves)『きわめてよいふうけい』『東京の子供』『Babyland』(リトルモア)『東京郊外』(光琳社出版)『Hyper Ballad: Icelandic Suburban Landscapes』(スイッチパブリッシング)ほか多数。