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2002/4/12(金)〜4/24(水)※会期中無休
10:00am〜9:00pm (最終日は5:00pmにて終了します)
(問)03-3496-1287(ロゴスギャラリー)
中国漢の時代に造られた「画像石墓」と呼ばれる形式の石室の壁面には、死者が生前と同じように死後の生活を営めるようにという願いを込めて様々な場面や紋様が浮き彫りにされました。約2000年前に造られたこれらの画像石の絵柄を資料として残すため、あるいは画像を楽しむため、特別な技法で採択し拓本を制作することがされるようになりました。しかし、最近中国では埋蔵文化財に対しての規則が強化されるなど、今後このような拓本を入手することが困難になっていとも思われています。
本展はその貴重な拓本約60点を展示販売いたします。拓本は画像石の原寸のため、一辺が大きいもので3メートル近いものから、小さいもので30センチ位のものまでがあります。また拓本制作のための道具や資料なども参考展示いたします。 |
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中国漢の時代には、死者が生前と同じように死後の生活を営めるようにと、地下に石室の墓を造ることが流行しました。この石室墓は幾部屋もある広くて豪華なもので、まるで住居をそのまま地下に造ったような構造でした。そしてその石室の壁面には、人々の世界観や価値観を表わすものや、実生活における様々なシーン等が浮き彫りされました。この石室のレリーフが「画像石」、墓が「画像石墓」と呼ばれるものです。
画像石墓の建造には、先祖を弔うためとは異なる目的がありました。それは墓主自身が造るものではなく、残された息子たちが親のために造るものだったのです。息子たちにとって、亡き父や母のためにできるだけ大きく立派な墓を造り、それを世間にアピールすることに大きな意味があったのです。当時は儒教が国教であり、その精神が人々の間に広く定着していった時代だったので、両親の恩に報いる「孝」が重んじられ、役人の採用や昇進の基準でもありました。出世を望む者は親孝行を形として示すことが必至であり、その証しとして競って立派な画像石墓を造ったのです。
画像石には、主に中国古代人の世界観や価値観、実生活の様子などが描かれていますが、そこには不思議な幸福感が満ちています。それは崇高な精神世界というよりは現世の人々の現実的な願望がそのまま反映した世界ともいえます。例えば、卓上には山海珍味が盛られ、歌や舞に興じ、酒に酔い、ゲームを楽しむといった悦楽の場面であったり、料理の食材や調理方法から、狩猟、漁労や農耕生活、格闘技や戦争など、現世でのあらゆる物事が描きこまれているものもあります。それは驚くほど現世的ですが、一方で国家思想である儒教精神を表現したものもあり、聖帝や聖人の肖像、あるいは教訓的な歴史故事などが描かれたものも多く見られます。
素朴ではありますが、自由にそしてダイナミックに描かれた画像石からは人々の生活や世界観がリアルに伝わってくるようで、2千年前とは思えないほどの親しみと感動をおぼえます。
本展でご紹介する拓本は、中国の専門の研究者によって、最新の拓本表現の技法で採拓されたものです。今では画像石のほとんどは各地の博物館に収蔵されるか、新出土の場合も調査が済みしだい埋め戻され採拓の機会も減ってきているようです。また昨秋国家文物局より埋蔵文化財に対しての規則が強化され、本展で展示されるような拓本も今後入手が困難になると思われます。展示された拓本は大変貴重なものであります。
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西王母の図(45.5×50cm)
菱形紋と波状紋に囲まれた中央の人物は西王母か、あまりの形相から東王公とするか共に崑崙山の仙界に棲む仙人で、肩には羽が有り腰掛けの上に座る。
崑崙には不労不死の仙薬や薬草がはえ人はそれを求めて永遠の生命を願う。
後方には二羽の吉鳥の鳳凰が覗き、右下の玉兎は仙薬を作る臼をひく。
左隅は獣頭人身の吉祥獣が描かれている。 |
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宴会の図(70×91cm)
波状紋に囲まれた中に左右に連理樹があり、鳥の巣には雛鳥が顔を出し、その上を雌雄の鳥が飛ぶ。
繁栄を喜ぶ図である。大きな屋根の上には鳳凰が舞い、屋根には二匹の猿が遊ぶ。猿は高く登る事から身分の高い高貴の印として貴ばれた。家には慢幕がめぐらされ二人の人物が酒を入れた樽を挟んで座り、二個の耳杯があり、外にはそれぞれ従者とおぼしき人物が主人を待つ。この手の図は多く、実生活を描いたと考えるより死後の世界でこのように平和で豊かでありたいと願った図と考えられる。 |
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蒼龍・白虎・鳳凰宝帯を奪い合うの図(81×75cm)
上段左が羽がはえた白虎、右が羽がはえた西龍、共に四方を守る守護神とされ、白虎は西方を守り蒼龍は東方をつかさどるとされる。左上の隅に一羽の鳥が覗く。
中段の連狐紋をはさみ、下段の宝帯を嘴で奪い合う二羽の鳳凰には大きな飾り羽があり、大きな足と蹴爪を持ち、板状の羽と別に大きな曲線で表現された羽を持つ。右の鳳凰には3枚、左は2枚、この違いは雌雄の別を表わすものか。 |
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門吏と連理樹(102×30cm)
上が樹木の枝が連なった連理樹で仲良きことや平和を暗示し、雌雄一対の鳥が枝に止まり小枝の中に営巣には二羽の雛鳥が見え子孫繁栄を願う。下はこの墓を守る役人であろう。 |
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女禍の図(101.5×26cm)
上に描かれた人頭の鳥は仙界の吉祥禽獣。下の髷を結ったような頭で人身蛇尾の女禍は伏儀と共に仙界の男女神で人類の租であるとされている。 |
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