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荒俣宏コレクション 博物画の至宝・オーデュボンの鳥類図譜ほか

展示会概要オーデュボンについてオーデュボンについて

オーデュボンについて


19世紀最大のアメリカの鳥類学者、といわれるジョン・ジェームズ・オーデュボン(1785−1851)の生涯はかなり波乱にみちたものでした。フランス海軍艦長の私生児として生まれ、フランス革命で行方不明になったルイ16世の息子と自称していた時もあったとか。その後、実父に引き取られ、パリで高名な画家ダヴィッドの工房で絵の修行、18歳の時にアメリカへ移住。そこで父親の事業を手伝い、様々な商売にも手を出したが悉く失敗して破産したあげくに投獄され、流転の日々を送っていました。その頃アメリカ鳥類学の父と呼ばれるアレキサンダー・ウィルソンに出会い、後の彼の人生に一つの転機をもたらすことになります。出獄後は肖像画家となりましたが、子供の頃から好きだった鳥類の採集に熱中し、本来の画才を発揮して鳥類図鑑制作を思いつきます。企画を持ち込んだアメリカの出版社から相次いで断られたため、英国に渡り、やっとのことで出版までこぎつけました。しかし販売価格が当時の一般人の年収を超えるような金額だったため、購入予約者は米英仏あわせて200名にも満たなかったといいます。実物サイズで描くことにこだわった「アメリカの鳥類図譜」は、多難の末にやっと刊行されました。
当時は描写が正確でないとか、ドラマチック過ぎる、という批判があり、学術的にも物議をかもしたものの、エレファント図版(103x69 cm)と呼ばれる大型図版に描かれた圧倒的な美しさと力強さは未だに他の類を見ません。そしてなんといっても動物画をアートの域にまで高めた功績は大きいと言えます。また、クリスティーズのオークションで、印刷本として史上最高値を記録した事でも世界中から注目されています。



J.J.オーデュボン「アメリカ鳥類図譜」より



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