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小鹿 総一 (OSHIKA,
Soichi)
1951年神戸市生まれ。スタジオマン・アシスタント、広告写真家として活動後、1990年にスタジオ・ビッグムースを設立。1991年にポラロイドフィルムを使用したポラロイド・イメージトランスファーによる作品制作を本格的に始め、1993年には神戸ファッション美術館の依頼により、同館の収蔵品を使用した作品を制作、イメージトランスファーによるオリジナルプリント4点が同美術館に収蔵される。1999年より、シリーズ“Flowers
in neutral moment”の制作を開始。 |
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個展、グループ展
1985 |
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“コダクローム展”出品 銀座ナガセフォトサロン |
1992 |
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個展“Flora” 銀座コダックフォトサロン、大阪ソニーサロン |
2001 |
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個展“Flowers
in neutral moment” 京都Prinz the Gallery |
2003 |
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グループ展“HANASI-(花師)” 青山
Art Space RURI |
2003 |
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個展“Flowers
in neutral moment” 目黒 Art Photo Site Gallery |
写真集
2001 |
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“Flowers
in neutral moment”出版 |
2003 |
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“Fine
Art Photography” RotoVisionに作品が収録 |
受賞他
「コマーシャルフォト」30人が選ぶ92年度写真展ベスト75に選出毎日広告賞特別賞
日本雑誌広告賞繊維衣料部門金賞
米国ポラロイド社主催・第3回(2002年)インターナショナルフォトコンテスト ファインアート部門入選 |
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「瞬花」しゅんか
"Flowers in
Neutral Moment"
中国古代思想「五行」に語られ、日本においても長い歴史の中で、季節を愛でる時に語られ、大切なものとして定着してきた五番目の季節が「土用」です。
これは暦でいう季節のひとつで、立夏、立秋、立冬、立春の前のそれぞれ18日間をいいます。今や夏の「土用」以外は、忘れ去られてしまったこの美しい季節「土用」とは、
季節が次の季節に移り変わろうとする“中庸なる瞬間 (neutral moment)”のことなのです。
この“中庸なる瞬間 (neutral moment)”の中に物事の真実や本当の美しさが存在する、という日本人の美意識、美的観念は様々な美しい表現として現在に残されています。能楽師“世阿弥”の「せぬ暇」にも、その大切さを伺い知ることができます。(「せぬ暇」とは演技と演技の間のこと。動作と動作の間の動いてない間を大切にしなさいという世阿弥の教えが「せぬ暇が大切」という言葉として伝えられている。)
花をモチーフとした作品を撮り続ける中で、いつしか「花」は季節を迎え、季節を送るものとして咲き、その美しさや、花々のメッセージは“中庸なる瞬間
(neutral moment)”に存在するという思いに至ったのも、私が日本人であるがゆえなのかもしれません。
“Flowers in Neutral moment”シリーズは、2001〜2003年にかけて個展で発表しました、8×10と20×24inchサイズのポラロイドフィルムを使用し、ポラロイド・イメージトランスファーという技法によって制作した約50点の作品群がベースになります。
この作品群の制作では、“中庸なる瞬間 (neutral moment)”、すなわち花を取巻く漂う時間と空間を表現するのにイメージトランスファーが持つ独特の色と、転写した後に支持体に残る独特なムラが必要不可欠な条件となっています。もし、イメージトランスファーに出会っていなければ、他の方法ではとうてい表現出来なかったテーマだと思っています。
このシリーズで目指す、移ろいゆく時の中で様々な表情を見せる花の“真なるもの”を捕える挑戦は私のライフワークです。このたび、その表現方法を探求するために“トランス・メタル・プリント(Trans
Metal Print)”という新技法を独自に開発しました。現在は、花々を取り巻く虚空とも言える世界観のより的確な表現を、この技法を駆使することで試みています。
今後も制作を続けて行く中で、作品表現がどのように移り変わるかわかりません。しかし、私の日本人としての本質から生まれる美意識を一点、一点のイメージに定着させる為には、イメージトランスファーやトランス・メタル・プリントが持つ表現の可能性が不可欠なことは間違いありません。今後も、その可能性を引き出し、手に入れる為の必要な努力を続けて行くつもりです。
小鹿 総一
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