奥田 雄太(Yuta Okuda)
日本とイギリスでファッションデザインを学び、ファッションブランドでデザイナーとして活動したのち、2016年よりアーティストとしての道を歩み始めました。以降、個展やグループ展を通じて、自身の表現を追求し続けています。
初期の作品では、計算された線のみで構成された細密なドローイングを中心に制作していました。そこには秩序や構築性への関心が強く表れていましたが、ここ数年は「偶然性」に着目し、流れるような色彩と繊細な線描を組み合わせた“花”の作品へと展開しています。
現在の作品制作の中心にあるテーマは「循環」です。コロナ禍という社会の大きな変化を経験した中で、私は日々の何気ない瞬間が、実はとても尊く、特別なものであることに改めて気づかされました。家族と過ごす時間、健康に生きていけること、誰かとの小さな会話——そうした「当たり前」がどれほど支えになっていたかを実感し、その気づきが、感謝という感情へと変わっていきました。
当たり前のことが当たり前ではないと気づいたからこそ、今できている「当たり前」に感謝し、その思いを込めて“感謝の花束”を描いています。
こうした思いから、「with gratitude(感謝を込めて)」というテーマで作品を描いています。アクリル絵具が生み出す偶然のにじみや混ざり合いに、極細のペンで丁寧に線を重ねていく。そうして“偶然”の中に“意志”を重ねていくようなプロセスは、私にとって、自分自身の感情を見つめなおす時間でもあります。
今回の展覧会タイトル「Blooming with Gratitude(感謝の花が咲く)」には、そんな想いが込められています。
感謝の形は人それぞれ違います。私が描く365輪の花は、365日のさまざまな感謝のかたちを表現しています。たとえ一日ひとつでも、何かに感謝することで、日々の景色は少しずつ鮮やかに変わっていく。
この作品を通じて、その彩りを少しでも感じていただけたらと願っています。
この花々が、鑑賞される方の心をそっと明るく照らし、日常の中で前を向く力になれば、それ以上の喜びはありません。
Instagram:https://www.instagram.com/okudayuta/
HP:https://yutaokuda.jp/